おれの仕事は数合わせ。
いつかどこかで余分に《不幸》になることを選んだ君には、ひとつ新たに《幸せ》を。
そっからどうなるかなんておれの知ったこっちゃねェけど、色々いじって可能性だけは作ってやるよ。
おれは大学の校舎の出入口に間抜けにつっ立って、今にも降ってきそうな重たい色をした空を見上げた。
天気予報は、何時からだったかチェックすることが習慣になってしまっていたから、この後がどうなるか予想するのは容易い。今朝テレビの中のお天気の姉さんがにこやかに笑いながらお告げしたことを思い出す。
「今日は夕方から豪雨になることでしょう。お出かけのさいには傘をお忘れなく」
天気予報はチェックしたのだから、当然傘は持ってきていた。ではなぜおれの手元にそれがないかと言えば、単純明快に無くなっていたからだ。幼いころから今
だにパクられることなくおれの手元にあり続けた愛着の沸いてしまったビニール傘がとうとう姿を消してしまったことに、おれは少なからずショックを受けた。
「くそっ」
そう小さく呟いておれは早足に歩きだした。上手くすれば降りだす前に家に辿り着けるかもしれない。
しかしおれのそんな希望的観測も虚しく、地元の地下鉄の駅から地上へと上がれば雨は暴力的な勢いで、ザーザーという全く可愛げのない音をたてて地面を叩
いていた。さらに道路はマンホールが吸い込みきれなかった雨水で浸水していて、傘があったとしても一歩たりとも足を踏み出す気にはなれなそうであった。
どうしようか。
財布の中の少ない残金を思って、傘を買おうかどうかを考える。いや、でも走ればどうにか…なるはずねェな。おれはどうにかなっても鞄の中のレポートは駄目だろ。そんな葛藤をするおれの横を、傘を持った人たちが次々に勇敢にも足を踏み出して行く。
そんなときだった。背後からいきなり声がかかったのは。
「傘、ねェの?」
声には聞き覚えなんてなく、振り返って見た顔にも当然全く見覚えがなかった。でも、そうにこりと笑って声をかけた男の顔と、いつかの昔に『躊躇わずに傘、さしてやる』と笑った顔が、確かに、重なった。
そんな気が、したのだ。
雨に濡れることを厭わない君に
傘をさしてくれる人がありますように
できるのならば、それが僕でありますように
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ここまで読んで下さりありがとうございました(*^_^*)
初めて思いついたサンゾロの話でした。
こいつらいちゃつきすぎかなとか、船長の代わりになんか変な奴が出張ってたりとか、てか長すぎね?とか
ま、不安要素は腐るほどたくさんあり、とても拙い仕上がりとなっておりますが、もし楽しんで頂けたなら幸いです。